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いつまでも手を繋いで 作詞/オレZ 作曲/20スレ595 わしゃ広島生まれじゃけぇ 気の利いたことは言えんとよ ばってん今日のおまさは ほんま綺麗だべした いつもオイの体気遣ってくれてありがとな なまら愛してるべさ これからもよろしゅうに 音源 いつまでも手を繋いではただいま管理人の手元にありません。持っている方くださいな。
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キャラクター名 いつまで 所属兵団 四皇 プレイヤースキル 財力 厨房度 ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ 所属国 新政府 型 サブキャラ ゼノ リリィス 発言の痛さ ここに発言を入れて下さい 総評 ここに評価を入れて下さい 本人への要望 本人より 本人からのメッセージはこちら 【以下備考等】 BC復活していつまでも女さがしてんじゃねーぞ?!ごらああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ -- 名無しさん (2014-05-09 01 55 27) これ誰だっけ -- 名無しさん (2014-05-09 09 28 42) 名前 コメント
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《いつまでもずっと》 イベントカード 使用コスト2/発生コスト2/青 [メイン/自分] 自分の「逢沢 夏海」1枚と「水越 紗季」1枚と「花木 優香」1枚と「環 凛子」1枚は、ターン終了時まで退場しない。このターン、そのキャラがアプローチでポイントを与えた場合、ターン終了時に自分の全てのキャラを活動状態にする。 (御石様はもう奇跡を起こしてくれない。でも、この願いは奇跡じゃないから。) 夏色キセキで登場した青色のイベントカード。 自分の逢沢 夏海・水越 紗季・花木 優香・環 凛子1枚は退場しなくなり、アプローチでポイントを与えた場合ターン終了時に自分キャラ全てを活動状態に戻す効果を持つ。 条件は厳しいが、最大で一度に4枚ものキャラを無敵にできる。 退場を気にせずアプローチできるようになり、後半の効果を発動しやすくなる。 アプローチに成功すれば自分キャラ全てを活動状態に戻せる。 アプローチに参加したキャラも全て妨害に回せるため非常に強力。 《水越 紗季&逢沢 夏海(P001)》+《花木 優香&環 凛子(P002)》の2枚だけでも発動可能だが、一気にたたみかけることを考えると多いほうが得。 <夏色キセキ>になら採用する価値は十分あるだろう。 カードイラストは第12話「終わらないナツヤスミ」のワンシーン。フレーバーはその時の夏海のセリフ。 関連項目 《みつかっちゃっ……た》 収録 夏色キセキ 01-107 夏色キセキスターターデッキ 01-107 編集
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37話 悪夢は続くいつまでも 「高杉さんお疲れ様です」 「言うとうりにやったぞ、これでいいんだな」 「ええ、上出来です」 「なかなか面白かったです」 「じゃあ、俺はこのへんで」 高杉が消えていった 「ふ…面白かった」 「さあ、次はどういうロワにしようか」 小河英準こと◆VxAX.uhVsMは考え始めた そうして悪夢はまだ続く… 【DOLバトルロワイアル 完】 Dear my friend 時系列順 Dear my friend 投下順 ミライへの地図 高杉晋助
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「れいむさーん、まりささーん。本番前ですよー」 「………ん」 2人は顔も合わせず、楽屋でゆっくりしていた。 まりさは新聞の上にけだるげに乗っかって記事を流し読みしており、れいむは 弁当を大して美味しくも無さそうに黙々と食べている。 さっさと出ればいいのに、新人らしいアシスタントの女子は、なおも2人に続け た。 「ゆっくりしすぎないで、来てくださいねー」 「わかってるよー」 紙面の端にある4コマに目を通し終わった頃、弁当箱も片付けられた。 一服したいところだが、そうもいかないか。 やたらときつい仕事である。 見ると、アシスタントはまだ出て行かず、楽屋の入り口でこちらを眺めている 「……………」 「あぁ、しかたないね」 ややうんざしした表情で、2人は初めて今日、目を合わせた。 いつもの様に、自信満々に、そして眉を少しひそめて―――少しだけ憎たらしく。 アシスタント側から向かって、れいむは右に、まりさは左に来るようにのそのそと 移動し、大声で叫ぶ 「「ゆっくりしていってね!!!」」 「ひゃア!!ありがとうございます!」 同じく辛い仕事であろう、アシスタントは顔を輝かせて手を打ち、一礼するとすぐ に部屋を飛び出していった。 本番前なのに、疲れた表情のゆっくり2人は、よちよちとスタジオに向かいながら 呟く 「まったく、どいつもこいつも『ゆっくりしていってね』を見るまで帰ろうともしないよ!」 「ただでみられるとおもってるんだね!きたいしすぎだよね!!」 「だいたいれいむがわるいんだよ!!」 「ゆっ!?どうしてそんなこというの!?」 うんざりした顔で、まりさは嘆息する 「最初の頃、ちょうしにのって所かまわず『ゆっくりしていってね』をやりすぎたからだよ!安売り はよくないのに、みんなに見せすぎたんだよ!」 「それはまりさもおなじだよ!!いっしょに『ゆっくりしていってね』をやったんだかられいむはわるく ないよ!!」 「まりさは本当はいやだったんだよ!!そんなに何回もやりたくなかったよ!!!」 「そんなこと後からいってももう遅いよ!!ゆっくりしね!!!」 「れいむこそゆっくりしね!!!」 もう隠そうともせず、お互いを罵りあいつつ現場に向かう二人。 途中で何人ものスタッフに会ったが、別段驚かれはしない。もう、日常となってしまった光景だった。 散々罵りあい、膨れ上がりながらいつもの定位置に付く 気配りができる監督とカメラマンだけが、2人を心配していた <本番5秒前でーす> 5 4 3 2 1 ======= 「「ゆっくりしていってね!!!」」 途端、スタジオに歓声が飛交う。 歓喜する収録の観覧客様方 もう何年間繰り返したか解らないが、今の所留まる事を知らない熱。 ======= ――1時間後 収録は終わる 「おつかれ様でしたー」 「おつかれさまー」 「ゆっくりごくろうー!」 「スタッフさん、きょうもありがとうね!!」 「お2人とも、今日も可愛かったですよ!!」 「あ、それからジャーマネさん」 れいむは小さめのタオルを咥えて持ってきた。 「これ、捨てておいてね」 「こっちも。焼いてもいいよ。汚いからね」 それは―――2人がお互いにすりすりをする際、見つからないように、お互いの 間に挟んでいたタオルだった。 ――――いつから、こうなってしまったのだろう その日、2人は改めてマネージャーともに、監督達のミーティングが行われた。 皆の言いたい事は、それとなく解っていた 「――どうしたんですか、2人とも」 「どうしたもこうしたもないよ?」 「いつものれいむだよ?」 「そうじゃなくて」 今日など、途中の「やべ、くっついた!!!」では、まりさだけが涙も流さず、しらけ 顔をしていたのだった。 「少しは我慢してたけど、日に日に2人の息が合わなくなってるじゃないか!」 「そんなの解ってるよ」 「解ってるんだったら、どうにかならないか!?」 「もう嫌だよ!!」 横目でお互いを見つつ、目があうと同時にそっぽを向いた 「れいむはこいつがだいっきらいだよ!!」 「ゆっ!!まりさもこいつがきらいだよ!!」 「そんなあ、2人ともデビュー前からあんなに仲良しだったじゃないですか」 「皆、そろいもそろって、ふたりを1セットに見てるんだもん!!」 無理も無い話しである 「そんな事言っても、2人とも単独でもでも人気がありますよ」 「「そう、もうこいつと一緒じゃなくてもいいんだよ!!」」 どうやら生半可なソロの成功が、2人を付け上がらせた上に、仲違いを促進したらしい。 成功ゆえの傲慢さもあるかもしれないが、何よりもベテラン達には起こる倦怠感だろうか。 避けては通れぬ道か。 「お2人は、やっぱり一緒にいるのが一番ですよ」 「いやだよ!もう楽屋がいっしょなだけでうんざりするよ!!」 「れみりゃさんやさくやさんを見てみなさいよ!!あの2人、途絶えることなく仲睦まじいじゃ ないですか」 「あれはただのへんたいだよ!!」 「さくやさんは失血でこのまえしにかけたし、れみりゃはたぶんわかってないよ!!」 それを言ってはいけない……… 「じゃあ、ソロになったらなったでどうするんです?」 「大変ですよ?レティさんだって、好きで四六時中ラーメンだけ貪ってる訳じゃないんですか ら……」 好き勝手わめいていた2人は、ひたと止めた。やはり、一人でやっていく先のビジョンなどは無 いのだろう。今は、相方への嫌悪感だけでやめたがっている訳か。 それはそれで大きな問題である。 困り顔の周りの人間の心も知らず、勢いに任せて二人は言い放った。 「「とにかく、もうかいさんするよ!!!」」 ====================== 2人の無期限活動停止のニュースは、数日後すぐ報道された。いくつも噂が飛交い、事務所に電話 が鳴り響く中―――まりさは既に次の歩を進めていた。 「「ゆっくりしていってね!!!」」 元々人気者の彼女は、新しいパートナーに事欠く事は無かった。候補は何人かいたが、前々から個 人的にも仲の良かったありすと、彼女は直ぐにコンビを結成した。 「すーり すーり!!」 息もそれなりにあい、前のれいむの様に変な自己主張も無い。大体、自分に合わせてくれるありす に、まりさは満足していた。 ただ……… 「ゆっくりうえをむいてね!!」 「?」 と、ここで軽くキスをするパターンの際など……… 「ゆっ!?」 「まりさ……まりさぁ…………」 いつもなら、頬に軽く触れるくらいで終わるところを、無理やり口づけし、離そうともしない。 「は…はな……」 「んぅ」 と、軽く抗議しようとしたら、舌をねじ込まれた。 ジュクジュクと続く。 時間は短いが、まりさにとっては緊張のあまり気の遠くなるような時間が流れる 「ぷぅ………はあ」 「ゆ、ゆっくりしていってね……」 ありすは演技でもなんでもなく、紅潮した顔をしていたが、明らかにれいむのそれとは違った。その あまりに真に迫った表情に、正直旧来のファンの多くは引き、何人かは更にのめりこんだ。あと、新参 のファンが僅かだが増えた。 これでは、らんしゃまとちぇんである。 従順で自己主張はせず、基本は受身だが、こちらから何かを仕掛けると、2倍にも3倍にもなって返っ てくる。 まりさは恐怖を感じ始めていた。 ====================== その頃のれいむは………… 近郊の、ゴトゴトとアナログな音を立てつつも最新鋭の設備で構築された工場を訪れる。 「ゆっ!ちょうしはどう?」 〔ばっちりですよ!〕 スピーカーから、責任者の声が鳴り響く。 200年前に廃止したゆっくり加工場の技術が、こんな所で転用できるとは思わなかった。 相方に不満があり、以前のネームバリューだけを追って、三下のパートナーばかりが湧いてくるのなら、 自分で理想の相手を作ってしまえ、という発想である 「本当に”あいかた工場”ができるとはおもわなかったよ!!!」 〔私もです!れいむさんの餡子・リボンの主成分や、過去の全てのライブと収録番組からデータを分析 しました。必ず肌に合う相方のゆっくりが生産されるはずですよ!〕 「それで、どれくらいのペースでできているの?」 〔はい!もうラインが確立されまして。3週間で2体のゆっくりが誕生できるようになったんです」 ゆっくりしすぎなペースである。 しかし、一人決まればそれで何とかなるだろう 「じゃあ、もういるの?」 〔はい!!勿論です。とりあえずリストをそちらに送らせてもらっております〕 「じゃあ………この12番さんに会いたいよ!」 ―――GATE OPEN――― (ガガガガガ・・・・・) 〔12番さーん?ご指名でござぁぁぁーいい………〕 何やら声色の違う呼びかけに戸惑いは覚えたが、物々しく開いた鋼鉄の扉から、一人のゆっくりが飛び出して くる。 「よろしくおねがいするよ!!」 「こらこそ!!じゃあ、さっそくやってみるね!!!」 れいむは右に―――そして、新しい相方となる、ゆっくりてんこの右側に回る 「「ゆっくりしていってね!!!」」 中々のフィット感 「いいよいいよ!」 「これからもがんばっていこうね!!!」 「じゃあ、さっそくこれからのよていだよ!」 見ると、殆どの番組やイベントのタイトルに、れいむの字が……これは、解散する前から、れいむがソロでの 仕事を積極的に行っていたことの名残による。 「なんだぁ?あたしゃこのゲストか?」 「そ、そんなことないよ!?てんこはれいむのあいかただよ?これからはレギュラーだよ?」 「だったらタイトルおかしくね?何?おまえのかませ犬になれって事?」 「ぜんぜんちがうよ!!」 「私をあて馬に自演って事か。犬か。馬か、あんたにとって私は」 「どぼじでぞんなごどいうのおおおお!?」 「汚い流石大御所汚い」 とりあえず、不採用 向うから拒否され、とりあえずてんこには鉄の扉の奥へ戻ってもらった。 次に…… 「8番さんおねがいするよ!」 〔8番さーん?ご指名でござぁぁぁーいい………〕 ガラガラガラ・・・・ 「よろしくお願いします!」 「ゆっくり「していっへね!」」 感嘆符はおそらく1・2個。今までまりさとやってきた3個に比べると物足りない数である 「もっとおおごえでいったほうがいいよ!!かるくかんでもいたし…」 「ご、ごめんなさい!!わたしなりにさいだいげんがんばりますから………!」 気を取り直してもう一度 「「ゆっくひしへいってね!!」」 声は兎も角、滑舌がよろしくない 緑色の新しい相方は、顔を真っ赤にして泣き始めた 「ごめんなざあああああああい。でぎのわるいごでええええええええええ!!」 「い、いいよいいよ!!まだこれからだよ!」 「どうせわたしは2Pカラーよおおおおお」 「ゆっ!?何言ってるのかわからないよ?」 「みんなにこれから先もルイージって言われるつづけるのよ……」 何も始まっていないのに、向うから泣いて逃げてしまった。 これでは何にもならない 続いて……… 〔6番さーん?ご指名でござぁぁぁーいい………〕 ガラガラガラ…… 「やくもゆかり、16歳です!!!」 「つぎ―――9番さんおねがいします」 年齢を初めから詐称している相方とは組めまい 〔9番さーん?ご指名でえええぇぇーす………〕 ガラガラガラ…… いきなり「ゆっくりしていってね」をやるのも危険だと思い、れいむはとりあえず質問から入る 事にした。 今度は、多少酒癖の悪さを自覚している以外は、性格にも問題は無く、スムーズに行きそうだった。 「じゃあ、いくよ!?」 「よろしくね!!?」 「「ゆっくりし…「ぎゃああああああああああああああああ!!!!」 角が刺さった。 零れ落ちそうになる餡子を押しとどめつつ、泣く泣く9番には戻ってもらう。 ―――その後も、うまくはいかなかった。 〔15番さぁぁぁーん〕 「ゆっくちちちぇいっちぇね!!!」 同じ種類だが、小さすぎ 〔11番さぁぁぁーん〕 「JAOOOOOOO」 初めから、何か自分の台詞を持っていたり 〔⑨番さぁぁぁーん〕 初めからもう駄目だと悟らされたり 〔38番さぁぁぁーん〕 「おお、デビューデビュー」 「ゆっくり」すら言えなかったり 結局、この工場で生まれた相方たちは、全員駄目だった。 これだけ沢山生まれた相方は、これからどこへ行くのか流石に気になって質問した。それなりの需要は あるとの事だったが。まあ、全員どこかやる気がなかったので、相方になれなくともそれ程悲惨な目にあ う訳では決してなかろう それでも、れいむは怒り心頭である。 「少ないおこづかいからしゅっぴもして、工場までたててもらったけっかがこれだよ!!!」 〔すみません、すみません!!〕 スピーカーから、平謝りの声が 〔も、もういっその事……〕 「?」 〔私が相方になってみせましょうか?〕 その発想は無かった 「そ、それならそんな所にいないで、きちんとでてきてあやまってよ!!!」 〔は、はい!!しばらくお待ち下さい!!!〕 背後のエレベーターが鳴り、中から兎のようなシルエットが駆け込んでくる ゆっくりうどんげであった。 ゆっくり自身が管理している工場だと言う事は知っていたので、てっきりぱっちぇりーかきもんげ、良くて ゆっくりてゐあたりが出てくるだろうと思い込んでいた。正直驚いた。 「そ、それじゃあやってみるよ!!?」 「ゆっくり……」 「「していってね!!!」」 声もタイミングもばっちり。 ただ……… 「体つきだと、うまくあわないよおおおおおおおおおおお!!!」 「そ、そんなあ、差別だああぁああ!!!」 「きもい。おもにからだがきもい」 工場長と隣り合い、大声で二人泣きながら、れいむは思った。 ―――まりさあああああ がえっでぎでええええええええええええ!!! ====================== 仕事前のありすの自宅で、それは起こった 「「やべ、くっついた!!!!」」 「ほ、ほんとうにとれないよ!!?どうしよう?」 「―――いいじゃない。このままスタジオまで行きましょ?」 ―――もう限界だった 「ありすはいちゃいちゃしすぎだよ!!」 「いいじゃない!!!まりさのやりたいことは何でもさせてあげたわよ!!」 「そういう事じゃないよ!!!なんていうか……甘すぎるよ!!」 「何で?ありすはこんなにまりさの事すきなのに!!」 「そんな事わかってるよ!!!」 「じゃあ、なんでそんなにつめたいの?!」 「しごととそれは違うよ!!それに、このべたべたはもう嫌だよ!!」 まりさは思い切り下腹部〔?〕に力を込めて、頬を引きちぎった。 「ぎゃあああああああああ!」 「いだいいいいいいいいい!」 そのまま、泣き腫らした目で外に飛び出していく ―――れいむうううううう がえっでぎでええええええええええええ!!! ====================== よほどの嫌味を言われるかと思っていたが、マネージャー達は快く、再結成の引き受けてくれた。 後は、まりさの承諾を得るだけだったが、そのまりさとは数日前から連絡が取れないのだという。 自宅へ行ってみたが、鍵もつけず、蛻の殻だった。 親類にも報せが無いらしい。と、いうか家にはずっと帰った様子が無い。 周りを探し回ってみると、相方のありすの家にずっといたらしいが、ちょうど姿をくらましたころ から家をとびだしていったのだそうな 泣き腫らしてひきこもっているありすからは多くの情報は得られなかった。 八方手を尽くして探している中――― れいむは孤独を知り、ようやく自分の我侭さを自覚した おそらく、それは一方のまりさの方も同じことだったのだが、どんなに罵られても、全てを受け入れ る気持ちに彼女はなっていた。 いつまでも当たり前だと思っていたことが、実は失ってからその尊さに気付く。 泣きながら、まりさの帰還を待ち、そして自ら時間を見つけては彼女を探した。 そして――2週間後に 「うー、まりさをつれてきたよ!!!」 「ほんとう!??」 息も絶え絶えにまりさを楽屋へ運んできたのは、うーぱっくだった。どうやら、自宅へ帰ろうとしたが ありすに怯えて帰れず、公園で野宿を繰り返していたらしい 「まりさ!?まりさだね!!?ごめんね?またもう一度組もう?」 「まりさ?れいむ?組む?………わ、ワカラナイ……」 「まりさ?」 ガタガタと震えるまりさの目に、生気は無い。 下膨れした顔はじゃっかん痩せ細り、常に震えている。 「ワカラナイ………何もかもワカラナイ……怖い……」 「ど、どうしたの!!?」 「怖い………怖い……ありす怖い……おんなの人、怖い……」 あの部屋で何があったのか。 そして、この数週間の苦労を考えると、れいむは涙を流さずに入られなかった。 「まりさ……まりさぁ………しっかりしてよお、れいむだよ……」 「れいむ?だれそれ?ワカラナイ……」 「うわあああああ」 「おお、怖い怖い」 意外とまだ余裕がありそうな錯乱したうめきをあげるまりさを、れいむは全力で包み込もうとした。 大粒の涙が、かつての相方の頬を濡らす。 「ごべんねえええええええええええええええええええええええ!!! もう、いじわるもわがままもいばないがらもどにもどっでええええええええええええええ!!!」 「ワカラナイ。わからないよー?」 「それは他のゆっくりだよおおおおおおおおおお!!」 「怖い……怖いよ………」 大きな悔恨を込めて、れいむは叫んだ。 「こんなことなら、ずっとあのままゆっくりしていればよかった…………」 「――ゆっくりして――――」 「ゆ、ゆっくりしていっでねえええええええええええええええええええええええええええ!!!!」 まりさの目に、変化がおきた。 生気の無い目の奥に、一粒だけ光が瞬いた。 「ゆ、ゆっぐい……?」 「まりさ?」 れいむはすぐさま相手から見て左側に駆け寄り、叫んだ。 「ゆっくりしていってね!!!」 「ゆっく……ゆっくり………」 相手が目覚めるまで、連呼する 「ゆっくりしていってね!!!ゆっくりしていってね!!!」 「―-―-ゆっくり――して――――」 目の中の明かりは、次第に形になっていった。 「ゆっくりしていってね!!!ゆっくり……」 「していってね………!!!」 れいむは涙を止めて、元の相方の名を呼ぶ 「まりさ……!?」 「れいむ……!?」 2人は、基本ポジションに分かれ、声を大にして何千回も繰り返したライフワークの台詞を叫んだ 「「ゆっくりしていってね!!!」」 ――終―― ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++; さて………いかがだったでしょうか、「ドキュメントYSN ドスまりさ ―その生涯―」第5回。 今回は「社会人―デビュー後編」であった訳ですが…… みょんさん? 「ええ……何ていうか………2人の友情というか、ゆっくり同士の絆に感動しましたー」 すいかさん? 「まあ………あの、その……」 ありすさん?どうでしたか? 「いや……どうだも何も………半ば悪役気味に描かれている種と同じ私にそんなこと言われても……」 こーりんさん?どうお考えになります? 「やはり、行き過ぎた戦後の人権教育とやらの成れの果てがこれですね。私に言わせるなr…」 さて―――こうして、波乱万丈のデビューと、束の間の成功を経て、改めて手にした仲間との絆。 次回の 「ドキュメントYSN ドスまりさ ―その生涯―」第6回は! ―――― さくや 「お前は河馬だ………河馬になーれー!!」 めーりん「JA………ひひーーん!!」 さくや 「わかりましたおぜうさま!河馬の鳴き声は『ひひーん』です!」 れみりゃ「うー!」 まりさ 「河の馬?であってる?ところで『河の豚』でなんて読むんだっけ?」 ―――― 「達人 ――引退編――」 をお送りします それでは、また来週! 全 俺 と ゆ っ く り が 泣 い た -- 名無しさん (2008-11-09 07 24 57) イイハナシダナー -- 名無しさん (2012-01-04 19 59 11) 名前 コメント
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『君と、いつまでも』 柔らかな春の日射し。 桜舞う校庭を吹き抜ける風は、まだ冷たい。 今日から三年生。薔薇学園で過ごす最後の一年。 玄関前に、新しいクラス編成が貼り出されていた。 それを食い入るように見詰める私と、ジュン。 お互いの名前を見付けて、ほぼ同時に、吐息する。 僅かに白くなった息が、春風に流されて、消えた。 「また、貴方と同じクラスになったのだわ」 「本当に、ここまで来ると腐れ縁だよな」 まさか、三年連続で同級生になるなんて、思ってもみなかった。 腐れ縁……か。せめて『運命の悪戯』とかロマンチックなことを言って欲しい。 そういうところで、ジュンはデリカシーと言うものが無かった。 下駄箱に続く階段を登りかけて、ジュンは立ち止まり、振り返った。 「――いつまでも、一緒に居られるといいな」 よく見なければ気付かないほど小さな微笑み。 私は小走りに彼を追い掛けて、耳元で、そっと囁いた。 「ええ。これからも、ずっと――」 なにげない日常にも、よく見れば新しい発見がある。 その事に気付いたのは、休み時間の教室だった。 ジュンが眺めていた雑誌を、興味本位で覗き込んだ私は、 そのページに印刷されていた情景写真に、一瞬で惹き込まれていた。 海の底の写真。まるで、ギリシャの神殿を想わせる石筍の列。 こんな光景を目にしたのは、写真や映像を含めても、初めての事だ。 「どうしたんだ、真紅。ぼぅ……っとしちゃって」 「え? ああ、その写真が、あまりに素敵だったから、つい」 「これか? うん。確かに凄いよなぁ」 「そうね。竜宮城って、こんな感じなのかしら」 「……いつか、一緒に行ってみたいな」 いきなり妙な事を口走った私に微笑みかけて、彼は写真の説明をしてくれた。 どうやら外国の、海底に水没した鍾乳洞の写真らしい。 ――世界は広い。 素直にそう感じたとき、学校という空間が、如何にちっぽけな世界であるかを知った。 そして、少しだけ不安になった。 こんなに小さな世界ですら、私には広く思えるのに……。 学校を卒業して、世間に放り出されたとき、私は何をすればいいのだろう。 そもそも、何がしたいのだろうか? 自問すると、返ってくる答えは、ひとつだけ。 ――ジュンと一緒に居ること。 私の望むことは、ただ、それだけ。 ゴールデンウィークの直前、私とジュンは大喧嘩をした。 理由は、馬鹿馬鹿しいくらいに他愛ないこと。 今から振り返れば、そう思って笑い飛ばせるけれど、あの時は違った。 まあ、結局……連休半ばには寂しくなって、どちらからともなく仲直りしたけどね。 私たちは仲直りの際に、ひとつの誓いを交わした。 いつまでも、一緒に居るから。 これからも、ずっと側に居るわ。 その誓いどおりに、私たちは休日でも、都合を付けて会っていた。 普段の生活でも、なんとなく傍らに居る二人。 周囲の目には、恋人同士に映っているのだろうか。 私たちは、世間一般に言うようなカップルではない。 ジュンが告白してくれた事は一度として無いし、その逆も然り。 世俗的な通過儀礼を、私たちは経験していなかった。 でも、私たちは互いの気持ちを解っていたし、意志の疎通も完璧だった。 人の気持ちは、言葉にしなければ伝わらないなんて話は、ウソ。 分かり合おうとする想いさえあれば、気持ちは自然と通じるものなのだから。 二人の関係を例えるなら、影――だろうか。 私は彼の影。そして、彼は私の影。 境界は明瞭なようで、本当は全てがグレーゾーンなのかも知れない。 今更、側に居たいと願う必要もないほど、私たちは密接な関係を築いていた。 傍らに居ることが、呼吸するくらい、ごく自然なことだと思えるくらいに。 十八年の歳月が育んだ二人の絆は、多分……生涯、変わらない。 私も彼も、それで充分、満ち足りた気持ちになれた。 「ジュン。一緒に帰りましょう」 「ああ。帰ろうか」 ジュンはいつだって、笑いながら、私の願いを聞いてくれる。 ――それは、私も同じ。 彼が望むことなら、なんでも叶えてあげたいと思う。 見返りなんて、最初から求めてはいない。 いいや……それだと、語弊がある。 本当のところ、彼の笑顔を見る事こそが、私にとって最高の見返りだった。 一学期が終わり、明日から夏休みを迎えようと言う日、私たちの関係は少しだけ発展した。 と言っても、単に世俗的な通過儀礼を終えただけなのだけど。 私にとって、その日は人生最良の思い出となった。 そして、ジュンにとっても、そうであって欲しいと思った。 ――八月初頭に開催される、町内の夏祭り。 私たちは、誓いの指輪を交換した。 勿論、露天の安っぽい指輪である。 普通の高校生に買えるアクセサリーなんて、このくらいが限界。 けれど、売っていた指輪はどれも、素直で洒落たデザインをしていた。 左手の薬指に填めた、お揃いのチェインリング。 それを眺める度に、私は笑みを堪えることが出来ず、頬を緩めた。 ジュンは、そんな私の肩を、優しく抱き寄せてくれる。 いろんな露店を冷やかして回る間、彼はずっと、腕時計を気にしていた。 少しくらい、私の浴衣姿を褒めてくれてもいいのに……とか、ちょっと欲求不満。 「そろそろ、花火を打ち上げる時間だな」 「そうね。例の場所に行きましょう」 私たちは寄り添いながら、学園裏の城址公園に行き、例の場所に向かった。 子供の頃から来ている、花火を見るための、秘密の特等席。 周囲には、誰も居ない。 夜空を彩る大輪の花が、恥じらう二人の表情を、柔らかく照らし出す。 私たちは掌を合わせ、指を絡ませ合いながら……。 ――互いのファースト・キスを捧げ合った。 夏休みも半ばを過ぎた頃、私たちは二人きりで、海に行った。 世間では『夏を征する者は受験を征す』とか言われているけれど、私たちは気にしない。 受験に成功しようが、失敗しようが、一緒に居ることに変わりはなかったから。 照りつける太陽の下、私はパーカーを羽織って、パラソルの陰に隠れていた。 別に、肌が弱い訳ではない。 水着だって、今日のために気合いを入れて選んだほどだ。 しかし、なんと言うか……コンプレックス? 我ながら、実にくだらないと思うのだけれど、やはり他の娘たちのスタイルを見ると、 尻込みせずにはいられなかった。 「折角きたのに、泳がないのか、真紅?」 「……ええ。もう少し、波打ち際が静かになってからね」 「そっか。確かに、あの人混みじゃあ泳ぐ気にならないよな」 だったら、何か飲み物とか買って来るよと言って、 ジュンは焼けた砂の熱さに飛び跳ねながら、海の家へと走っていった。 私は独り、読んでいた本を閉じて、沖合に目を向けた。 すると偶然にも、浮き輪にしがみついている子供の姿を見付けた。 明らかに、様子がおかしい。沖へ沖へと流されている。 このままでは、あの子が危ない。 咄嗟にそう判断した私は、パーカーを脱ぎ捨て、砂浜に走り出していた。 海に飛び込み、あの子を目指して、泳ぐ。 ひたすらに泳ぐ。 懸命に泳ぐ。 その子の元に辿り着いた私は、すぐさま異変に気付いた。 沖に流される速度が、尋常ではない。 見る見るうちに、砂浜から引き離されていく。 この時、私はまだ『離岸流』というものの存在を知らずにいた。 このままでは拙い。でも、どうしたら? 子供が掴まっている浮き輪は、二人が縋り付くには小さすぎる。 遠ざかる砂浜に目を遣ると、異変に気付いた他の海水浴客たちが、 こちらを指差して騒ぎ出していた。 その人混みの中から、浮き輪を手にした男性が飛び出し、こちらに向かって泳いでくる。 彼……ジュンだと、私には直ぐに判った。 ――いつまでも、一緒に これからも、ずっと―― 頭の中で繰り返される、あの言葉。リフレインと言うのだろう。 だが、安堵したのが悪かったのか、両脚が攣り、私は水底に沈み始めた。 苦しい。息が出来ない。 鼻腔に浸入した海水が、奔流となって喉や気管に流れ込んでくる。 ごめんなさい、ジュン。私……もうダメかも知れない。 そう思った矢先、私は力強く腕を引っ張られて、気付けば水面に浮かび上がっていた。 浮き輪を手渡されて、しがみつくと、私は激しく噎せ返った。 どのくらい、そうしていただろうか。 私が落ち着きを取り戻した時……周囲に、ジュンの姿は無かった。 私と、流されていた子供は、駆けつけたモーターボートに救助された。 けれど、ジュンが居ない。 彼は……ジュンは、何処に居るの? 何処に行ってしまったの? ずっと一緒に居るって、約束したのに……。 今朝だって、誓いの指輪を見せ合ったじゃない。 悪い冗談は、止めてちょうだい! ジュン……お願いだから、こんな意地悪は止して! 私を、これ以上、悲しませないで! お願いよ。ねえ、お願いだから……。 後になって聞いた話だと、私は半狂乱になって、地元警察や漁協の人たちに、 ジュンを探してくれるよう食ってかかっていたそうだ。 海上保安庁の職員も合流して、周辺海域の捜索が行われた結局―― ジュンが発見される事は、遂に、なかった。 それからの日々は、何を、どうしていたのか判らない。 勿論、今でも、当時の事を思い出せない。 記憶が、完全に抜け落ちていた。 私が、やっと自身の呟き声に気付いたのは、九月も末の事だった。 夏休みから……あの事故から、ずっと鬱ぎ込み、引き籠もっていたらしい。 食事のとき以外、部屋のドアは固く閉ざされたままだったと言う。 誕生日に、ジュンがプレゼントしてくれた手縫いのぬいぐるみを抱き締めて、 時に、小鳥が愛の歌をさえずる様に…… 時に、哀話を囁きかける様に…… ブツブツと独り言を喋っていたそうだ。 そして今朝、私は微睡みの中で、不意に気が付いた。 彼が会いに来られないなら、私が会いに行けば良いのだ、と言うことに。 何故、こんな簡単な事が、今まで思いつかなかったのだろう。 私は、すっかり人っ気の無くなった砂浜を訪れていた。 夏の日に、二人で来た砂浜―― 貴方は、なにか飲み物を買ってくるって、言ってたわね。 今度は私が、貴方のために、飲み物を買ってきてあげるわ。 「ねえ、ジュン……貴方は、なにが飲みたいのかしら?」 訊ねても、吹き抜ける風は、何も答えてくれなかった。 ――ジュン 私が愛した、最初で、最後の男性。 彼は今も、この海のどこかで眠り続けている。 だから、私が起こしに行くわ。 そして、また……二人、一緒に。 長月の西空が朱に染まりだした頃、私は、靴も服も身につけたまま、海に入った。 流石に、水は冷たい。 だけど、私の熱い想いを冷やすことなど、出来はしない。 いつまでも彼と一緒に居るためならば、私は灼熱の大地でも踏破してみせる。 凍てつく氷河でも、渡りきってみせる。 誰にも邪魔はさせない。 何者にも遮られはしない。 全ては、ジュンに出会うための、試練に過ぎないのだから。 一歩……また、一歩。 膝から太股へ……そして腰まで、水面に呑み込まれて行く。 どの辺りまで行けば、離岸流にぶつかるのだろう。 ああ、もう……歩いているのが、もどかしい。 いっそ、泳いでしまおうか。 そんな考えが思い浮かんだ矢先、私の身体が、ふっ……と流され始めた。 もう、泳いだ方が速そうだ。 服が肌に張り付いて、酷く泳ぎにくい。 それでも、私は平泳ぎの要領で、沖を目指した。 身体が、ますます軽くなっていく。 泳いでいると言うより、流されている感覚が、強くなっていった。 「やったわ、ジュン。このまま、貴方の所まで行くわ」 私は仰向けになって、潮流に身を委ねた。 右手に握り締めていた紅茶のペットボトルを、胸元に押し込む。 ここまで来て、折角のおみやげを落としたりしたら、彼に笑われちゃうわ。 さあ、私を彼の元に運んでちょうだい。 いつしか、空一面に星が瞬き始めていた。 なんて綺麗なのかしら。 そう呟きながら、私は夏祭りの夜に見た、花火を思い出していた。 二人が初めて、身も心もひとつになった、あの夜―― 私たちの関係が、これからも続いていくことに、何の疑いも抱いていなかった。 まだ、終わりじゃない。 これからも、続けていくのよ。 私たちの関係を―― 二人の人生を―― 私の頬を、涙が一粒、零れ落ちた。 嬉し涙なのか……悲しい涙なのか……よく、解らない。 瞼を閉じた私の身体は、静かに……ゆっくりと沈んでいった。 波の中で、私は、たゆとう。 なんとなく、揺りかごに寝かされていた赤ん坊の頃に還った様な気分がした。 とても、心地が良い。 「そろそろ、目を覚ましたらいかがですか、お嬢さん?」 唐突に話しかけられて、私の意識は一瞬にして目覚めた。 誰も居ないものと思っていたのに、いつの間に?! 振り返ると、タキシードを着た、ウサギ男が立っていた。 頭には小さなシルクハットを頂いている。 「初めまして、お嬢さん」 「貴方……誰なの?」 「日常と非現実を渡り歩く道化に、名など有りませんよ。 ワタシはただ、お嬢さんの要求を耳にして、お節介を焼きに来ただけです」 「お節介、ですって?」 自らを道化と名乗ったウサギは、こっくりと頷いた。 この道化ウサギは、どう言った素性の者なのだろう? 日常と……非現実? そもそも、ここは何処なの? 海の中かと思っていたけれど、どうも違う。 「私は、死んでしまったの?」 「そうとも言えるし、そうでないとも言える」 「訳が分からないのだわ。禅問答をしている暇はないの」 「せっかちですね。短気は損気というのを、ご存知無いですか?」 ああ言えば、こう言う。煩わしいウサギだ。 私には、貴方に構っている暇なんて無い。 ジュンを、探さなければならないんだから。 「どこを探すつもりですかな」 道化ウサギは、まるで私の心を読んだかのように薄笑いを浮かべた。 「ように……ではなく、ワタシには読めるのですよ。 ここは、非現実世界ですからね」 「……それなら、私の目的も解っているでしょう」 「勿論。だからこそ、道化の分を弁えず、アナタの前に現れたのですよ。 彼の居場所をお伝えするために……ね」 「っ! 貴方、ジュンが何処に居るのか、知っているのね?」 「この非現実世界の事ならば、何でも知っておりますよ」 私は、心の奥底から湧き出してくる感情を抑えることが出来なかった。 道化ウサギに縋り付き、あらん限りの声で、叫んでいた。 「教えてっ! ジュンの元へと、私を連れていって!」 その為に、私は此処まで来た。 ジュンに会う……ただ、それだけの為に。 道化ウサギは徐に頷き、指を鳴らした。 今度こそ、私は海の中を漂っていた。 けれど、相変わらず、非現実世界に居ることも理解していた。 何故って? だって……海の中でも、普段どおりに呼吸が出来るんだもの。 頭の中に、あの道化ウサギが話しかけてくる。 『彼の居場所は、アナタも既に知っているはずですよ』 (既に、知っている? いいえ……解らないわ) 『思い出しなさい。彼が、教室で眺めていた雑誌を』 突然に、私は思いだした。 休み時間の教室で、ジュンと眺めた、あの雑誌……。 確か、水没した鍾乳洞の写真が載っていた。 竜宮城って、こんな感じなのかしら。 いつか、一緒に行ってみたいな。 あの日、私と彼が交わした言葉。 あの時の事を、ジュンが今も忘れずにいてくれたのだとしたら―― 『行き先は決まりましたか? それでは、望みなさい。 願いが強ければ強いほど、より近くへと行けるでしょう』 願いの強さなら、誰にも負けない。 私は彼の側に行く。 絶対に、ジュンを見付けてみせる! 私の意識は、海中を駆け抜け、海底に眠る洞窟へと飛び込んでいた。 無秩序に立ち並ぶ石筍の間を、するりするりと泳いで行く。 真っ暗な筈なのに、洞窟の中は照明が当てられているかの様に明るかった。 もうすぐよ、ジュン。 私は、もうすぐ貴方の元に辿り着く。 暫く行くと、岩壁に突き当たった。ここで終わり? いいえ……彼は間違いなく、この先で、私を待っている。 左薬指のチェインリングが、私に、そう語りかけていた。 真上に泳いでいくと、不意に、水面を突き抜ける感触があった。 この鍾乳洞は、全てが水没している訳ではなく、所々に空気溜まりが有るのだ。 海中から陸に上がって、私は目の前に広がる光景に絶句した。 荘厳……それ以外に表現する言葉が見付からなかった。 何千年、何万年という歳月を費やして形作られた、鍾乳石の神殿。 神殿? いいえ、違うわ。ここは、大自然の作り出した夢幻の城。 此処こそが、竜宮城。 私と貴方が一緒に来たいと、願っていた場所。 私は、徐に歩き始めた。 ここに、ジュンが居る。早く……一秒でも早く、会いたい。 その衝動が、歩くスピードを、更に加速させる。 いつの間にか、私は走り出していた。 ――真紅。会いに来てくれたんだね。 彼の声。ずっとずっと聞きたかった、ジュンの優しい声。 「ええ。来たのよ、私。ジュンに会いに来たの」 だって、約束だもの。 いつまでも、一緒にいるって。 声のした方へ向かって、一心不乱に走り続ける。 ジュンは岩影に横たわって、駆け寄る私に穏やかな眼差しを向けていた。 「こんな恰好で、ごめんよ。なんだか、とても億劫なんだ」 「当然よ。こんな所に、一ヶ月も隠れていたんだもの」 「そっか……もう、そんなに経ってたんだな」 「貴方は酷い人なのだわ。 竜宮城に入り浸って、いつまでも、帰ってきてくれないんだから。 早く戻らないと、私がお婆さんになってしまうじゃないの」 「ははは……そう言えば、浦島太郎の伝説って、そんな話だったね。 竜宮城で三年を過ごす間に、地上では三百年が過ぎてた――って」 「ええ。でも、今なら間に合うわ。一緒に、戻りましょう」 そう言った私に、ジュンは頚を横に振って見せた。 「ごめん、真紅。それは出来ないんだ」 「そんなっ! 何故?! どうしてっ?!」 「なぜならば……僕はもう、竜宮城の食べ物を口にしてしまったから」 それが、どうしたと言うのだろう。 その程度の事で、何故、帰れなくなるのか? ……解らない……判らない……分からない。 「真紅。僕はね、もう……死んでしまってるんだよ」 聞いた瞬間、新手のブラックユーモアかと思ってしまった。 「ウソ…………よ、ね?」 私の問いに、ジュンは苦しげな表情を浮かべて、顔を背けた。 彼の姿がぼやけて、霧のように掻き消えた。 その後に残されていたのは、白骨死体。 右手の薬指には、夏祭りの夜、露天で買い揃えたチェインリングが填められていた。 間違いない。この人が、ジュン。 私の最愛の人。 涙が止まらなかった。再会できた歓びと、別れなければならない悲しみと、悔しさで。 私は胸元から紅茶のペットボトルを抜き出して、傍らに置いた。 「ジュン……このお茶ね、貴方のために買ってきたのよ」 私はジュンの頭蓋骨を拾い上げて、胸に抱いた。 会いたかった。心の底から、そう思う。 たとえ貴方が、どんな姿になろうとも……貴方を想う、私の気持ちは変わらない。 ジュン……世界の誰よりも、私は貴方を愛しています。 涙に濡れた頬を、ジュンの頭に擦り付ける。 ひんやりした、冷たい感触。 こんなにも冷え切ってしまったのね、貴方は。 だったら、私がこうして、暖めてあげる。 これからも、ずっと―― 私は、この上なく満ち足りた気分で、ジュンの頭を抱き締めていた。 道化ウサギが、姿を現すまでは。 「彼との再会は、果たせたようですね」 「何の用なの? 冷やかしに来たのなら、帰ってちょうだい。 私は今、とても幸せな気持ちなの。邪魔されたくないわ」 「ほう……それは、本人の意思を尊重しなければいけませんね。 しかし、本当にそれで良いのですか?」 「……くどいわね。なにが言いたいのかしら?」 「彼を連れ戻さなくて良いのですか? と、訊いているのですよ」 どういう事だろう。意味が、よく解らない。 「平たく言えば、彼を甦らせたくはありませんか……と言う事です」 「!! そんな事が、本当に?!」 「黄泉戸喫という言葉を、聞いたことはないですか?」 「? いいえ、無いわ」 「イザナギと、イザナミの話として有名なのですがね。まあ、良いでしょう。 彼は、さっき言っていましたね。竜宮城の食事を、口にした――と」 そう言えば、ジュンは確かに、そう言っていた。 「黄泉戸喫とは、その地に縛られてしまうこと。 彼はもう、竜宮城から抜け出せなくなっているのですよ」 「だとしたら、甦らせるなんて不可能じゃないの!」 からかわれている気がして、私は声を荒げた。 しかし、道化ウサギは目を細めて、私が持ってきた紅茶のペットボトルを指差した。 「あれが、役に立つのですよ。現実世界との繋がりを、取り戻すためにね」 「この紅茶を、どうしようと言うの?」 「彼の亡骸に振りかけなさい。そして、願うだけ。簡単な事でしょう」 「……確かに。でも、解せないわね」 「何がです?」 「なぜ、貴方が、そこまでお節介を焼くのか……と言う事よ」 問われて、道化ウサギは頭を掻いた。 そして「今度のお嬢さんは、また勘の良い娘ですね」と苦笑混じりに呟く。 「それについては、いずれ……話すことも有るでしょう。 ですが、今は彼の件を急いだ方が良いですよ」 言われるまでもない。 私は骨を並べ直して、紅茶をまんべんなく振りかけた。 ジュンの亡骸が、ふたたび光を取り戻す。 「…………真……紅? 僕は、一体――」 「っ! ジュン! ジュンっ!」 私は、いまだ朧気なジュンの身体を、両腕でしっかりと包み込んだ。 まだ冷たい。でも、待ってて。きっと温もりを取り戻してあげるから。 「さあ、早く行きなさい。カウントダウンは始まっています。 鬼ごっこの鬼は、一秒だって待ってはくれませんよ」 「解ったわ。ジュン! 私の手を掴んで! いつまでも、ずっと――」 「ああ。行こう。ずっと一緒に!」 私の左手に、ジュンの右手が重ねられ、しっかりと繋がれた。 安物のチェインリングが、再び、二人を結び付けた。 私はジュンの手を握り締めて、来た道を辿り、出口へと向かった。 背後に、何だか判らないけれど、恐ろしい者の気配を感じる。 もの凄いスピードで、追いすがってくる。 思わず振り返ろうとした私を、ジュンが叱責した。 振り返っちゃダメだ。前だけを見て、逃げ続けるんだ。 そうだ。後ろに有るのは、悲しい過去だけ。 私たちは前だけを見て、幸せな未来に向かって、進み続けなければいけない。 ――僕には、君が居る 私には、貴方が居る―― その想いを胸に、私たちは光の溢れる世界へと飛び出していった。 潮風のにおいと、潮騒のざわめき。 目を覚ましたとき、私は見たこともない磯に横たわっていた。 身体を起こして、辺りを見回す。 何処なの、此処は? それに、ジュンは何処に? 彼が居た痕跡は、無い。まさか、全て夢だったの? 左手に、繋いだ手の感触が残っている。 でも、あれは……非現実世界でのこと。強く願えば、なんでも叶う世界。 「また、こんな喪失感を抱かせるなんて……。 ジュン。貴方は、本当に酷い人なのだわ」 後から後から、涙が溢れてきた。 こんな夢なら、いっそ、見ないままの方が良かった。 こんな想いをするくらいなら、いっそ、ここに来なければ良かった。 私は泣きながら、磯を歩き始めた。 足元は起伏に富んでいて、とても歩きづらい。 涙で目が霞んでいたせいか、私は蹴躓き、ごつごつとした岩場に倒れそうになった。 ――危ないっ! そう思った瞬間、私は力強い腕に、抱き留められていた。 私を支えてくれたのは―― 「危なかったな。気を付けないとダメだぞ」 「ジュンっ! 貴方……今まで何処にっ!」 「ちょっと、飲み物を買いに行ってきたんだよ。約束だっただろ?」 あの日の約束を、ずっと憶えていたなんて……。 「でもさぁ、行ったは良いけど、財布を持ってなかったんだよな」 「…………バカ。貴方って、本当に――」 その後の台詞は、声が詰まってしまって、巧く言えなかった。 けれど、私も彼も、この一言だけは、しっかりと伝え合っていた。 『君と、いつまでも』 幸せな二人の様子を、道化ウサギは崖の上から見下ろしていた。 その表情は、我が子を見守る父親のように優しい。 道化ウサギは指を鳴らして「お幸せに」と呟くと、突風と共に消えた。 彼が、最後に使った魔法の効果だろうか。 朝日の中で抱き合い、口付けを交わす二人のチェインリングは、 ひときわ輝きを増していた。
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カタッカタカタタ‥カチッ‥カタッ‥タタタ‥ 私は、リビングで会社から持ち帰った仕事を片付けていた。 「だからー左手は、こっち!!」 「わかんないー!」 「お茶碗持つ方の手!」 「だからわかんないー!」 後ろから、律と愛娘、理緒がじゃれ合っている様子が聞こえる。 最近買い与えたミニミニドラムセット、みたいなおもちゃで律がドラムの指導をしていた。 4歳児にドラムを教える、なんて無茶もいい所だ。 まぁ、すぐ飽きるだろう、と思いつつ。心の中で微笑ましく思っていた。 カタッ‥カチッ‥ ……持ち帰ったお仕事、終了。 「んん~‥」 私は椅子の背もたれに寄り掛かって伸びをした。 「ママー!!」 直ぐ様、理緒が駆け寄ってきた。 「りつがうるさいー!!」 「理緒がやりたいって言うから買ってきたんだろ!?」 私に助けを求める理緒と、大人気なく声を荒げる律。 たまにスタジオに入る時、理緒も連れて行ってて。どうやらドラムに興味を示したらしく。 律は腕まくりをして、ミニミニドラムセットを買い与えたって寸法であった。 「むー!!」 私の脚を掴み、むくれて律を睨む理緒。 「‥まったく」 やれやれ、といった表情の律。 「…あ、そうだ。澪」 「ん?」 私は理緒の焦げ茶色の髪を撫でつつ、律に声を返した。 「バンド…やらないか?」 「へ?」 「バンドだよ、バンド!」 「あぁ……スタジオ、入るのか?」 私は戸惑いつつ、またスタジオ入ろうって事か、と解釈した。 「ちーがーう!!」 律は、否定した。 「え?」 目を丸くしつつ、律を見る私。と、理緒。 「バンドだよ!放課後ティータイムだよ!!」 「いや‥」 いつも、皆でスタジオ入ってるじゃん。と、返すと 「だから…」 律は近付いてきて 「よっ、と」 理緒を抱き上げ 「活動再開しようぜ?って話だよ」 理緒も大きくなったしな、と不思議な顔をした理緒を撫でつつ、言った。 「………」 私は暫し、沈黙してから 「………うん」 …頷いた。 「よーしきっまりー♪」 律は、左手で理緒を抱きながら右手に携帯を手に取り、ダイヤルした。 「‥おぉー唯?…ひさしぶりー♪って、先週スタジオ入ったばっかだろ‥」 「…」 不思議な表情のままの理緒を見て、私は微笑んだ。 「だから、バンドだよ!放課後ティータイムだよ!!」 おそらく唯も私と同じ反応をしたらしい。 「‥あ、梓も一緒かー?ちょーどいいや。今度スタジオ入る時に、ミーティングするって言っといてー。じゃなー♪」 「…りつ」 「‥ん?」 「おろしてー?」 「あ、わりぃわりぃ。澪、ちょっと持ってて?」 「あ、あぁ」 律は理緒を私に手渡した。 「次は、ムギに連絡だ!」 律は携帯を掲げて、活き活きとした顔。 「…ママー」 「‥ん?」 「おろしてー?」 「はいはい」 私は、理緒を床に降ろした。 「‥あ、ムギー?バンドやるぞー!!‥いや、バンドだよ!放課後ティータイムだよ!!」 理緒は、三度同じセリフを口にした律を眺めると 「‥‥」 ー♪ー♪♪ー♪ ミニミニドラムセットを叩き出した。 「んー、じゃ、再来週?とかか?‥うん、唯達にも聞いとくわ。また、連絡するなー♪‥あ、理緒?元気だぞー」 ムギと話し込む律を横目に 「‥りお」 「なにー?」 「左手は、こっち」 ちいさな手首を掴んで、指導した。 「‥わかった!!」 理緒は、嬉しそうにミニミニドラムセットを叩いた。 「ふーん♪ふーん♪」 楽しそうな、理緒。 ‥初めて、ドラムのスティックだけ買った当時の律に、そっくりだった。 「‥よーし!活動再開ー♪」 メンバーに連絡を終えた律は、主婦の顔から、ドラマーの顔に戻っていた。 五年前。 放課後ティータイムは、活動休止を宣言した。 切欠は、夢の武道館ライヴを終えてからの打ち上げ会場での事。 皆、だいぶアルコールも回り。まったりしてきた所で 「そろそろ‥子供‥欲しいな‥」 私は、うっかり呟いた。 『こども!!?』 会場にいたHTTメンバー、スタッフ、全員が一斉に私に注目した。 「みおちゃん!!まだ式挙げてないでしょ!?」 「おお、男の子ですか!?お、女の子ですか!?」 「十月十日とか、ちゃんと計算したの!?」 律以外のメンバーに詰め寄られる私。 スタッフ一同は、固唾を飲んでやりとりを見詰めていた。 ………。 やっちゃった…って気持ちで一杯の私は、言葉に詰まった。 ………。 沈黙に包まれる、打ち上げ会場。 「…あー」 …! 沈黙を破ったのは、律だった。 「‥実はさ、京都大の方に相談しててさ」 かくかくしかじか、と説明した。 要約すると、IPS細胞のお陰で子供を授かれるんだぜー?って内容。 で、私と律は二人で「子供、欲しいね!!」っていつも話していた。 ‥‥まぁ、可能だって知って。思わぬ未来が見えた。けど。 レコーディングして、プロモーションして、ツアー回って、またレコーディングして‥。 こんな生活じゃ、子供なんて。そう思って居たのだが。 「夢の武道館」が叶ったコトもあり。私は思わず口走ってしまった 「ほぅ‥」 理解したんだかしてないんだか分からない唯。 「律ちゃんと澪ちゃんの子供かぁ…」 何故かうっとり、と遠くを見詰めるムギ。 「………」 梓は、少し沈黙してから 「……い、いいんじゃないですか?」 『‥へ?』 ハモる私と律。 「お二人の事は、皆で知ってますし‥」 梓が唯とムギ、またスタッフの皆を見回すと、皆が笑顔で頷いた。 「それに‥‥子供が出来るって、すんごく、素敵な事じゃないですか!!」 ふんす!と立ち上がる梓。多分、酒の勢いだろう。 …まぁ、素直な気持ちが、酒の力を借りて全面に押し出されたって感じだろうか。 「おぉ!あずにゃんがやる気だ!!」 両手を不思議な方向に向けてリアクションする唯。 「素敵ね~♪」 両手を合わせてにこーり、とギ微笑むムギ。 スタッフ一同も、メンバーに流され「いいんじゃないか?」という空気になった。 「ちょ、ちょっと待てよ!」 その空気を制したのは、当事者の一人の律。 「子供産むってなったら、バンドはどうするんだよ!?」 浮かれずに。しっかり現実を見詰めていた。 「あぁ‥」 梓は、勢いを失った。 「出産、育児って大変だろう、しさ‥」 ちゃんと先を考えている律。流石、元軽音部部長であり、バンドのリーダーだった。 「………よし!」 間もなくふんす!と立ち上がったのは唯。 「活動を、休止します!!」 …………… 一時の静寂の後 『ええええええええええええええええ!!!!!!!?????』 …会場が、怒号に包まれた。 「なんでお前が宣言するんだよっ!!」 律が突っ込むと 「だって、こどもだよ!?律ちゃんと澪ちゃんのこどもだよ!?」 「だからって、バンドのメンバーとか、皆に迷惑掛けられないだろ!?」 「そんなことないよ!!!」 唯は、律を制して 「みんな、律ちゃんと澪ちゃんのこと、見てきたよ?ずーっと、ずーっと、見てきたよ?」 『………』 再び、固唾を飲む会場一同。 「女性同士でこどもなんてできないって思ってたけどさ。今はできるんでしょ?」 「‥まぁ」 一応‥と、律は小さく呟いた。 「じゃあ、それってすんごくすんごく、嬉しいことだよ!!」 いつになく真剣な表情の唯。 「確かに、バンドはつづけられないかもしれないよ。だったら、おやすみすればいいじゃん!!」 「………」 律は、アルコールで顔を赤くしながらも、真剣に言い寄る唯に気圧されていた。 「律ちゃんと澪ちゃんにこどもができてさ。一生懸命こども育ててさ、こどもがおっきくなったら、また、みんなで、バンドやろうよ!!」 唯は、少し涙目だった。 「‥そうよ!」 ムギが、声を上げた。 「ずっと……ずっと、一緒だったんだから!また、一緒にバンド、やればいいのよ!!」 唯の意見に強く、強く賛同した。 律と私は、二人の強い気持ちに言い返せなかった。 ………。 …会場が、少し静寂に包まれた。 「……‥その‥」 梓が、口を開いた。 「‥お二人が、したいように、してください…」 とても、恐縮した様子。 「‥でも‥いつまでも、いつまでも、放課後ですから!!私達、待ってますから!!」 恐縮しながらも、もう私と律が子供を作るコトを決定項にしていた。 「待ってるよ!!」 スタッフからも、声が上がった。 「ちゃんと、式挙げろよ!!」 余計な声も、上がった。 ………それからは、酒の席ということもあり。もう活動休止の方向で話は進んでいった。 後日、活動休止の件でミーティングをした。 唯と梓は、「ゆいあず」としてユニットで活動。 ムギは、時々に舞い込んでいたプロデュース業に専念。 私と律は………産休と育児休暇。 活動休止は、「夢の武道館」を叶えた事に伴う燃え尽き症候群…? 私達は、そんな世評を吹き飛ばした。 ゆいあずはHTTの勢いそのまま大人気となり、ムギもその作曲能力を生かし、トッププロデューサーの仲間入りを果たした。 「子供は男女の関係から生まれる者」という神のシナリオを塗り替え、子供を授かった私と律は、思う存分育児に集中した。 放課後ティータイムでの活躍もあり、そこそこの貯金はあった。 律は私より家事が得意ってコトで、主婦業。たまにパートもしていた。 律が主婦なら、私は一社会人として生活してみようって事になり。 HTTが所属するレコード会社に臨時雇用扱いで採用された。勿論、一般採用の枠から這い上がった。 まぁ…HTTはレコード会社としても稼ぎ頭だった事もあり、それなりに融通が利いて。 いつでも心置きなく辞められるようにって事で「臨時雇用」扱いを要望した。 …いつでも、放課後ティータイムが活動再開出来るように。 律が、放課後ティータイムの活動再開を宣言した翌日。 私は、会社の上司に報告した。 「あの、部長‥」 「おー、秋山君。どうした?」 上司は私より年上の男性で…所謂ヤンエグ。ヤング・エグゼクティブって表現がピッタリな風貌だった。 「……実は‥近々、辞めさせて頂こうと…」 私が渋々、切り出すと 「………」 上司は、少し黙り込み 「…社内で、何かあった?」 …小声で、且つ神妙に。聞いてきた。 「いえ、そういう事じゃなく…」 「……何?」 私が、滅茶苦茶恐縮しつつ 「バンド活動を、再開しようと…」 思いまして、と言うやいなや 「マジで!!?」 上司は、素になった。 「いつ!?」 「いえ‥具体的な時期はこれからミーティングしてって感じなんですけど…」 「ホントに!?放課後ティータイム、活動再開!?」 明らかにテンションが上がっている上司。 ………上司は、放課後ティータイムの、大ファンだった。 私がレコード会社に採用されてこの部署に配属された当時は、上司なのにこっちから敬語を直して貰うのに大変だった。 ‥まぁ、好きなバンドが活動再開するとなれば、テンションがアガるのも無理も無い話だ。 「‥うわー‥めっちゃ嬉しいわー‥」 感激に浸る上司。 「‥で、ですね?部長」 「……あ、あ。あぁ」 我に還る上司。忙しい。 「具体的な時期はこれからなんですけど、求人募集等掛けておいた方が‥」 「‥あぁ、そうだな。とりあえずその内、上から話は来るだろう。人事の方にも話は行くだろうし‥」 それからの私と上司は、極めて事務的な話に終始した。 「‥では、失礼致します」 「‥あぁ、分かった。上から話が来たら、また、あらためて……………楽しみだなぁ‥」 …最後の、一言以外は。 数週間後。 HTTが活動休止前に使っていたレコーディングスタジオに向かった。 「ただ合わせるだけなんだから、普通のスタジオでも良かったんじゃないか?」 「いやーせっかくの活動再開だぞ?こんくらい気合入れなきゃ!ドラムセットの手配もしてあるしー♪」 正式な活動再開を前に、HTTでスタジオに入る事になった。 活動休止中もHTTでスタジオに入ってはいたが、再開宣言をしたという事で。律はいつものレコーディングスタジオを押さえた。 「ママー」 「ん?」 「ゆいちゃんとかも、くるのー?」 「あぁ」 来るよ?と理緒に答えると 「わーい!!」 両手を挙げて、喜んだ。 「ホンット、唯と仲良いんだよなぁ」 「なんでだろうね」 「子供だから、じゃないか?」 「‥ふふっ」 律と私は、理緒を挟んで軽口を叩きつつ。レコーディングスタジオがあるビルに入った。 すると 「あ!」 理緒は前方の何かに逸早く気付き、走り出した。 「こら!理緒!!」 律が注意した時には、理緒は既に長い黒髪を掴んでいた。 くいっ 「きゃっ!」 声を上げる黒髪の主。 「ん?」 黒髪の隣の茶髪が、振り返った。 「あ、りおちゃん!」 「り、理緒ちゃん、ですか?」 唯と梓が、理緒に気付いた。 「おはよー!」 黒髪を片手に挨拶する理緒。 「おはよーりおちゃん!手、はなして?」 「えへへー‥」 唯の注意を素直に受け入れる理緒。 「イタズラしちゃ、ダメでしょ?」 「ごめんなさい‥」 梓の言葉に縮こまる理緒。 「ごめんごめーん!」 律と私は、唯と梓の元へ駆け寄った。 「律ちゃん!澪ちゃん!!」 「あ、おはようございます!!」 律は合流してすぐに、理緒を抱き上げた。 「いつもごめんなー。ダメだぞ?理緒ー」 「つーん」 律を無視する理緒。 「‥くすっ」 梓が思わず笑った。 「律ちゃん!!活動再開だね!!」 ふんす!!と眉を吊り上げる唯。 「早く、いこ?ムギ、先着いてるから」 私は携帯を見つつ、促した。丁度、ムギからスタジオに到着した旨のメールが届いていた。 「れっつごー!!」 「ごー!!」 理緒と唯の声の先導で、私達はスタジオに向かった。 スタジオに向かうと 「あれー?」 理緒を抱えつつ 「なんで皆居るんだ?」 律が不思議そうな声を上げた。 スタジオ前には、人だかりが… 「ムギちゃーん!」 先に駆け寄る唯。 「スタッフ‥勢揃い?」 私は、顔を見回して確認した。 「だれ‥?」 少し怯える理緒。 「仕事のともだち、だよ」 「ともだち?」 「あぁ」 律は理緒の頭を撫でた。 「‥なんで皆さん、居るんですか?」 梓が当然のギモンを投げ掛けた。 「ごめんね‥」 ムギは、恐縮しつつ 「活動再開するって言われて、嬉しくなっちゃって‥」 みんな、呼んじゃった☆と、ぺろり、と下を出した。 どうやら、ムギがスタッフ全員に声を掛けたらしい。 「んー。まぁ、いーけどさ‥今日、合わせるだけだぞ?」 あと、ミーティングぐらいだし。と律は頭を掻いた。 「ムギちゃーん、おちゃー!」 理緒が、無邪気に求めた。 「はいはい♪」 ムギが笑顔で応じ 「しょーがないな‥」 律は、お茶しながらミーティングにしよう、と決めた。 スタッフが大方揃っていた事もあり、ミーティングはスムーズに進んだ。 活動再開の時期は、ゆいあずとムギのスケジュールも考慮して、二~三ヶ月後。 私としても、職場の兼ね合いもあるので丁度良かった。 噂は出回るだろうけど、正式なプレスリリースは活動再開と同時の三ヶ月後が妥当だなって事になった。 理緒は、スタッフと誰彼構わずじゃれ合っていた。 「こらー。りーおー」 律が声を掛けると 「つーん」 無視した。 HTTメンバーとスタッフから、暖かい笑いが漏れた。 「まったく…それにしても、よく皆集まったなぁ」 律はティーカップを片手に、ロビーに集まったスタッフを見渡した。 「‥皆、待ってたのよ?」 ムギがティーポットを片手に、微笑んだ。 「理緒ちゃんも、大きくなりましたし!」 きゃっきゃっ、と理緒と手を握り合う梓。 「…私も、何回も社員登用の話、蹴ってきたしな!」 私は、会社の同僚でもあるスタッフと、顔を見合わせて笑った。 私は臨時雇用ではあったが…嬉しい事にこのご時世。何度か正社員登用の話を頂いていた。 ………勿論、この日の為に、臨時雇用扱いを固辞してきた。 「………みんな、ききたいんだよ!」 最後に唯が、身を乗り出した。 「みんな、私達の演奏‥‥ききたいんだよ!!」 唯の言葉に、皆が頷いた。 「………そっか」 律はふぅ、と息をついて。ティーカップを置いた。 「‥じゃ、やるか!!」 律が立ち上がると、メンバー、スタッフ。皆で頷いた。 「‥‥?」 理緒だけ、頭にハテナマークを浮かべていた。 何度も入った、レコーディングスタジオ。 防音独特の、空気感。 使い込まれた機材の、匂い。 メンバーは各々、チューニングしたり、アンプの出音を確かめたり、スネアの張りを調節したり。 「あー、あー。ふぅっ!ふぅっ!」 「ヴォーカル、オッケーです」 ヴォーカルの音量を調節したり。 ガラス越しのモニタールームにも、緊張の空気が漂っているようだった。 「………」 理緒は、ガラスに顔と両手をくっつけて。真剣なカオで、ガン見していた。 「‥よーし」 軽音部の部長が、メンバーを見渡し。スタンバイを確認した。 『‥‥』 メンバーは、頷いた。 「ふわふわで、おっけ?」 律の言葉に、メンバーは再び頷いた。 「‥っし!」 律は気合を入れ、モニタールームに目で合図して 「ワン・ツー!!」 律のカウントを合図に。 唯が、ギー太を掻き鳴らす。 小節が過ぎ、五人の音が重なる。 モニタールームが、色めきだった。 理緒が、ガラス越しにはしゃいだ。 『キミを見てると いつもハートDOKI☆DOKI』 ………また、私達の放課後が、始まった。 名前 コメント
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775 名前:通常の名無しさんの3倍 :2012/08/06(月) 21 21 12.51 ID ??? アスナ「私がアニメ化すればあの一家に仲間入りの可能性もあるのかな?」 シン(エコール)「随分とメタなことを…まあ完結することからだな」 ティエリア「(私はいつまで女装任務を続ければ良いんだ…ヴェーダは何も(ry)」 776 名前:通常の名無しさんの3倍 :2012/08/06(月) 21 33 35.86 ID ??? アレルヤ「ティエリア 僕から一言 ド ン マ イ!!」 777 名前:通常の名無しさんの3倍 :2012/08/06(月) 21 49 25.72 ID ??? 776 ロックオン「なあ、アレルヤ何処に行ったか知らないか?」 フェルト「え、えっと……ヴェーダからの極秘ミッションだとかで宇宙に……」 ロックオン「へぇ、ヴェーダがねぇ……アイツも大変だ」 ~宇宙空間のどこか~ アレルヤ「ささささ寒い……ボクはいったいいつまでこの宇宙に……(ザクウフゲルググ」 ハレルヤ『怒らせる相手は選べよなあアレルヤアアアアアアアアアアア!!!』
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あの大空はいつまでも 「君は本当に馬鹿だね」 僕はすぅすぅと寝息を立てている綺麗な寝顔に話しかける。 「バカ綱吉・・・・・」 すると、今まで眠っていた小さな恋人がぷぅ、と頬を膨らませる 「ちょっと、それは酷すぎですよ」 起きてたのか・・・ 「俺は、そこまでバカじゃないです!」 「いや、これ以上ないほど馬鹿だよ。そんな所も可愛いけど・・・・・。 せっかくアジトから抜け出せたのに転んで気絶って・・・10年前から変わんないね、君は」 10年前───────僕は中学三年、君は二年で。 僕と君が、初めて出会った頃。 「変わりましたよ」 綱吉がそうつぶやいて僕に口付ける。 「少なくとも、昔はこんな事出来ませんでしたからね」 そして僕に微笑む。 その笑顔は 天使のように純粋で、 幼子のようにあどけない。 羽毛のように柔らかく、 太陽のように僕を包む。 「・・・・・・やっぱり変わってないよ」 「えぇーーー!?」 窓の外を見る。 そこには10年前と同じ大空が、広がったいた。 (きっとこれからも、ずっと、同じ大空なんだろう!) +++あとがきんちょ。 祝!初小説ということで恥ずかしさ満点のヒバツナ小説でした!! 今原作ではツナは死んだってことになってますが、藍桜の中では生きてますから! 二人の愛は永遠です!!えぇ、永遠ですとも!(しつこい) てゆうか、短っ!!
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いつまでも、ずっと 『プロデューサーさん……お客さんの声、すごいですね……!』 ライブが始まる数分前の事だった。 衣装に着替え、私は準備を終えていた。 あとは、時間が来次第ステージに向かうだけである。 それまでの時間を、プロデューサーさんと話そうと思ったのだ。 『私、こんなにたくさんのファンの人とライブが出来るなんて……』 『本当に、嬉しいです!』 『プロデューサーさん、ありがとうございます!』 私が、こんなアイドルになれたのはプロデューサーさんのおかげなのだ。 あの日の静香ちゃんのライブを見たのは始まりだった。 だけれど、そこから受け入れて私を面倒見てくれたのは、プロデューサーさんだ。 『えへへ……私、まだまだ半人前ですから』 でも、私はまだ一人前のアイドルではないから。 もっと、キラキラと輝くアイドルになれるはずだから。 『これからも傍で見ていてくださいね、プロデューサーさん!』 これからも、ずっとプロデューサーさんと一緒に頑張っていけば。 私も一人前のアイドルになれるはずだから。 時間が来た、今からはアイドルとして頑張らなくちゃいけない。 『それじゃあ、行ってきます!』 私は駆けていく。 たくさんの人が待つステージへ。 私達という、アイドルを待っている人たちのために。 ◆ ◆ ◆ 今、私はステージの上に立っていた。 観客席には、誰もいなかった。 ステージも薄明かりがついているだけで、ライブの時のような明るさはない。 「……」 握っているマイクを見る。 備品として置いてあったものを借りてきた。 電気は通っているため、使用できるのは先ほど確認した。 「……ふぅ」 息を吐いた。 目を閉じる。 誰の声も聞こえない。 でも、ここはステージだ。 だから、私は――――。 歌を歌った。 誰もいなかろうが、ここはステージだから。 アイドルが輝く場所だから。 最初にステージに立ったときは、緊張しつつもワクワクしてた。 それは、今でも同じだけれども。 失敗しちゃわないか不安だったりする。 でも、私には仲間がいた。 初めてのお客さんの前でのライブは、響さん、風花さん、奈緒ちゃん、杏奈ちゃんと一緒だった。 このみさん達のライブの時に、翼と静香ちゃんと一緒に歌った。 ずっと、ずっと誰かと一緒だった。 そう、皆がいたんだ。 皆の声があるから、一人じゃないから、勇気が湧いてきたんだ。 素敵なキセキを起こすことができたんだ。 歌を歌い終わっても、歓声も何もなかった。 当然である、誰もいないのだから。 しばらく、沈黙が続く。 「……やっぱり、ワクワクしない」 その沈黙を春日未来自身が破った。 舞台裏に戻り、台にマイクを置く。 歌ってる時から、楽しくなかった。 観客がいなかった、というのもあるかもしれない。 でも、一番楽しくない原因は明らかだった。 「皆がいないなんて、つまんないよ」 一緒に喜び合う仲間がいない。 それだけで、楽しさがなくなってしまう。 皆がいて、ファンがいて、初めて楽しいんだ。 「……やっぱり、諦めたくなんかない」 もう、日常には戻れないと諦めかけた。 実際問題、元に戻るのは難しいだろう。 でも、歌を歌ってわかった。 自分は、ただアイドルでいたいわけじゃない。 皆と一緒に、楽しみたいのだ。 あのキラキラしたステージを、一緒に。 「一人で生き残ったって、そんなの嬉しくないよ!」 自分ひとり生きて帰って、ステージに立って歌いたいとは思わない。 そもそも、生き残るという事はつまり、皆を殺すことを意味する。 それくらい、春日未来でもわかっている。 そんなアイドルを、アイドルとして、人間として見てくれるファンはない。 誰も知らなかったとして、自分が認めたくはない。 自分に嘘をついたとして、皆がいない。 そして、再びステージに戻る。 周りを見渡すが、やはり誰もいない。 「すぅ」と息を吸った。 「春日未来、アイドルです!」 「プロデューサーさん、私は皆とまた一緒にアイドルがしたいんです!!」 「だから、絶対、何があっても……!」 「私らしい『アイドル』でいます!!」 言い終わると、息を吐いた。 この宣言は、誰も聞いてないかもしれない。 それでも、自分を戒めるのには十分だ。 「……よし、皆を探そう」 近くに置いてあったバックを取り、舞台袖に戻る。 今度、ステージに来る時は……皆で一緒に来るんだ。 そう心に言い聞かせ、外に向かった。 【一日目/朝/E-3コンサートホール・アリーナ舞台袖】 【春日未来】 [状態]健康 [装備] [所持品]支給品一式、ランダム支給品(1~2) [思考・行動] 1:皆でまた、楽しくアイドルがしたい 2:皆を探してプロデューサーさんを止める ハミングロード 時系列順に読む ずっと夢を見て 天と海の島 投下順に読む ずっと夢を見て オープニング 春日未来 伝説のはじまり ▲上へ戻る